ゆるゆる べんきょう

暇だから哲学・数学・物理学をゆるく勉強しているよ

参考書

このブログで勉強した素材を一覧化し、寸評します。

 

哲学史

田中: 哲学用語図鑑 ★★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/4833421194

図鑑。ポンチ絵で哲学用語を解説

〇:わかりやすい

〇:絵がかわいい

〇:そこそこ網羅的

×:東洋がない

 

平原: 読まずに死ねない哲学名著50 ★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/B06Y3W1QF3

50冊の西洋哲学の書籍の概略を説明

〇:説明はそこそこ丁寧

〇:前提なしで読める

×:西洋のみ

×:やっぱ50冊じゃ少ないな

 

野家: 科学哲学への招待 ★★★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/4480095756/

三部構成(科学史・科学哲学・科学社会学)で全15回の科学哲学の本。大学教養課程相当

〇:適度な長さ、簡潔な表現、前提条件不要

〇:西洋哲学史もカバー

〇:参考文献が豊富

〇:Kindle版がある

×:特になし

 

ゴルデル:ソフィーの世界★★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/4140802235/

小説風味 の哲学史。西洋哲学のみ。

〇:一人一人の哲学者に多くの文字を割いている

〇:小説風味になっており、初読では頭をガツンとなぐられた気分

×:長い 長すぎる

×:現代の哲学者に関してはあまり触れられていない

×:著者の倫理が至る所に巻き散らかされている

 

古典論理

野矢: 論理学 ★★★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/4130120530

3人の対話形式。前提知識不要。東大教授。最初の一歩に最適。

〇:対話形式なので素朴な疑問に答えてくれる

〇:前提知識不要なので、この1冊だけで完結して読める

〇:論理学の背後にある哲学思想がわかる

×:網羅的でない。特に完全性の説明はすっぽり抜けている

×:タブローや自然演繹などオブジェクトレベルの記述が少ない

 

北田:ゲーデル 不完全性定理発見への道 ★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/4768703917/

理系への数学の連載をまとめたもの。薄い。

〇:薄いのでさっと読める

〇:実際にゲーデル述語を構成している!

×:自己完結していない。勝手に未説明の用語を使う

×:章構成があまりうまくない。いったりきたり

 

戸次:数理論理学 ★★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/4130629158/

お茶大教授。東大出版。かなりガチ。

〇:自己完結している

〇:古典論理に関しては完全に網羅している

〇:証明論がかなり詳しい

×:数学書のように定義・定理・証明の連続。無機質な説明。

×:演習の回答がない

 

Rautenberg:A Concise Introduction to Mathematical Logic ★★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/1441912207/

かなりレベル高め。院レベル。英語(原書はドイ語)。

〇:1,2章が無料で読める。教授のページから。

 

集合論

Pinter: Set Theory ★★★★★

https://www.amazon.co.jp/dp/0486497089

Doverなので安い。前提知識不要。BNGな公理的集合論

〇:歴史的背景がしっかり書かれている

〇:自己完結。

〇:演習が豊富(回答はない)

×:強制法について書かれていないような気がする

×:やや冗長

 

志賀:無限への飛翔 ★★

https://www.amazon.co.jp/dp/4314010428

簡単。素朴集合論について。

〇:気楽に読める。ブルーブックスみたい

×:勉強向けの本ではない

 

暗号通貨

Mastering Bitcoin 日本語訳 ★★★★

https://www.bitcoinbook.info/translations-of-mastering-bitcoin/

260ページのOreilly本がタダで読める

〇: 網羅的

〇:わかりやすいが、十分技術的な内容を含む

×:若干内容が古い

 

 

論理学ちゃんと勉強

とりあえず、論理学の勉強として

あたりをやって、入門はできたと思う。一方、勘違いも多そうだし、あやふやなまま理解があるであろうことは考えられるので、ここで一つきちんとした教科書で勉強したいものだと思う。そこで、以下を今月の間に読もうと思う。

 

 

戸次は所有しているが、Rautenbergは高いので買っていない。1,2章は教授のページからダウンロードできるのでそれを利用しようと思う。

 

 

 

北田 発見への道 10章 (終)

10章 ゲーデル述語

前章からの続き。ロッサー文およびゲーデル文に出てくる述語を数値的に表現する。その際、自身のゲーデル数を自身に代入するという事情のため、ゲーデルナンバリング自体が数論的操作であることを示す必要があり、じっさいにそれを示す。

 

以上により、ゲーデル述語を実際に構成してみることにより、ロッサー文、およびゲーデル文で存在が予測されていた述語を帰納的に構成することができ、不完全性定理の証明が完成したことになる。

 

ゲーデル不完全性定理が完全に統語論的に導かれたとするならば、ヒルベルトプログラムを挫折させたといえるだろうが、その証明にはその意味論的操作が必要であったことは指摘したとおりである。意味論的な操作により、自己言及的な命題が記述可能になり、自己言及的な命題は様々な矛盾や困難を生み出すことになる。また、メタレベルにおいて対象の形式と同じ道具立てを利用しているというのも注目するべき点である。

 

最近ではメタな議論に選択公理集合論の公理を仮定することも珍しくなくなっている。

 

この章で大体ゲーデル不完全性定理の証明が終わったかな。結局対角化定理を使わないでロッサー型のゲーデル文を証明することで不完全性定理を証明したと。

 

残りの2章は哲学的なのでさらっと流すことにして、ブログでは、言及しないことにする。短い中でもなかなか示唆に富んだ良い本だったように思う。

 

 

北田 発見への道 9章

9章 証明の数値的表現

これまでの議論において、「xは公理である⇔Axiom(x)」や「xは証明列である⇔Proof(x)」といった、ゲーデル数を引数にとる述語を、自然数論の体系 N において再帰的に構成できると述べてきた。それを示している。

 

なお、「xは証明可能である⇔Pr(x)」、「xは反証可能である⇔Re(x)」もNにおいて表現できるが、それは再帰的ではない。

 

コンピュータ言語みたいっすなー。一つ一つはきちんと見ていないが実際にできるだろうということは納得がいく。

北田 発見への道 8章

8章 証明の再帰性

本書では、ロッサー文を使った証明でゲーデル不完全性定理を導いた。その際に前提となっている再帰性/帰納性を議論する。

 

まず、再帰的関数の定義を行い、これを用いると、再帰的述語および再帰的関係を定義することができる。実際、「普通の」関係ないし述語が再帰的であることが示される。

 

これまで「有限の立場で」という但し書きで使われるような場面では再帰的であることと同等である、ということかな。

Wikipedia - ゲーデルの不完全性定理

なんか色々誤解をしてそうなのでWikipedia(en) も読むことにしたい。

Gödel's incompleteness theorems - Wikipedia

 

これからも追記予定

 

二つの完全性

syntactically complete: Aもしくは¬Aが証明できる

semantically complete: 全ての恒真式が証明可能

ゲーデルが述語論理に対して示した完全性: semantical complete

・述語論理はsemanticalにはcompleteだが、syntacticallyにはcompleteではない

ゲーデル第一不完全性定理での完全性: syntactical completeness

 

ゲーデル文とロッサー文

第一不完全性定理の証明は ω無矛盾を前提としたゲーデル版と 無矛盾を前提としたロッサー版がある。どちらも、証明も反証もできない文の存在を証明する。

ゲーデル文「私は証明できない」

・ロッサー文「もし私が証明可能なら、その否定はより短い証明でなされる」

ロッサー版の方がより一般的な内容であるが、算術を含む体系はω無矛盾であるので、ゲーデル版がそのまま使える。

併せて読む: Rosser's trick - Wikipedia

 

 

北田 発見への道 7章

7章 ゲーデルナンバリング

項・式・証明列が与えられた時、それらを一意に自然数エンコードすることが可能である。このエンコードの規則をゲーデルナンバリングと呼ぶ(その実装には任意性がある)。その自然数を体系内の自然数と同一視し、変数x にその自然数を代入できる。この操作はSのメタの理論のモデルを対象とするモデルに作成することに対応し、意味論的操作である。

 

ゲーデル述語 R(a,b) として、「aは式Aのゲーデル数であり、bはAの証明のゲーデル数である」を定義すると、可証性述語すなわち、「式Aの証明が存在する」というメタな述語は、「 ∃b R(a,b)」と表現できる。R(a,b) は数値的に表現可能であるので(2個の自由変数をとるある式 r(a,b) で表現できるので)、可証性述語は 「∃b r(a,b) 」とかけ、「Aは証明できない」という述語は、「∀b¬r(a,b)」と書ける。

 

対角定理に、この h(a) = ∀b ¬r(a,b) を代入すると、「G ⇔ ∀b ¬r(g,b)  すなわち、いかなる証明列もGの証明でないというGが存在する」と意味する言明が得られる。同様に、¬G は「ある証明列はGの証明である」に対応するため、「¬G⇔ ∃b r(g,b)すなわち、 ある証明列は G の証明である。」こうして、証明も反証もできないゲーデル式Gが構成できると考えられる。

 

実際、このような文はロッサー文として、具体的に書き下すことができる。ロッサー文およびその否定は、Sにおいて証明可能でない。

 

議論はまぁ明快。対角化定理の証明が乗っていない。ロッサー文は、拡張されたゲーデル不完全性定理といわれているらしいが、どこをどう拡張したのかは書かれていないのが不満。個人的には、関係の数値的に表現可能なことは自明で、任意の関係について成立しそうに思うのだが、なにか勘違いしていそうな予感。