ゆるゆる べんきょう

暇だから哲学・数学・物理学をゆるく勉強しているよ

JJ桜井 量子力学 2章後半

シュレディンガー方程式をx-表示することで時間に依存する波動方程式が導出される。特に定常状態においては時間依存性が位相の回転で表されることを利用することで、両辺の時間依存項を消去することで時間に依存しない波動方程式が得られる。これを解くことでエネルギー準位が量子化されることが示される。さて、波動関数 ψ(x,t)の物理的解釈は、そのノルムは確率密度を表し、その位相(のナブラ)は確率の流れ j と密接に関わっていることがわかる。

 

シュレディンガー方程式の初等的に解ける問題がいくつか存在する。3次元空間の自由粒子は平面波で表される。調和振動子はエルミート多項式で表される。線形ポテンシャルではエアリー関数で表される。また、WKB近似と呼ばれる近似手法があげられる。これはポテンシャルエネルギーが変化する特徴的な長さと比べ、波長の長さがずっと短い(粒子的)時に使える。

 

さて、波動力学の用語であるところのプロパゲータ(始状態の波動関数に作用して終状態の波動関数を得るための積分演算子積分核)に注目する。この物理学的意味を考えると、これは以前のある時刻t0に正確にx'に局在していた粒子の時刻tにおける波動関数である。これをすべてのx'について足し合わせる(積分)することで、求める波動関数が得られるのである。プロパゲータは、ハイゼンベルグ表示における確率振幅<x'',t|x',t0>と同一であり、前述の物理学的な解釈とも整合的である。

 

この確率振幅に任意の数だけ恒等演算子を挟むことで経路積分の形に行き着く。古典論と異なるのは、(古典論では最小作用となる単一の経路に関する経路の積分をとるのとことなり)、すべての可能な経路の和をとらねばならないところである。

 

ポテンシャルの原点を変えるようなゲージ変換に対しては、波動関数は(tに依存する)位相のずれとして現れる。このことは電位の異なる筒を通る粒子が干渉縞をつくるという量子的効果を予測する。同様に、hbar/m が無視できないような場合、重力場による量子干渉を起こすことが予測され、実際に実験で確かめられている。

 

電磁気学におけるスカラーポテンシャルは前述と同様の効果である。ベクトルポテンシャルの任意性、すなわちゲージ変換は波動関数の位相部分に効いてくる(S→S+eΛ/c)となる。これは確率密度も確率の流れもゲージ不変であることを示す。一方、この位相の変化は量子力学的な干渉を予測する。すなわちアハロフノフボーム効果を説明する。